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コラム

 電子カルテ更新に際して

ホスピタルソリューションG 西山 祐介
2020年4月29日

 1999年8月に我が国で第1号とされる島根県立中央病院の電子カルテシステム「IIMS」の稼働が始まって20年が経過している。
当初はベンダも医療機関側と共同で手探りの中開発を行ってきた。これ以降10数年は大学病院を始めとした開発合戦時代と言ってよいと考える。 各施設は挙って新たな要求を仕様としたシステム開発に多額の費用と時間を費やしてきた。システム稼働までにかかった費用が60億円などと言った事例は枚挙にいとまがない。 大学病院に限らず市中の病院までが多額の費用をかけてベンダに開発要求をしてきた。 そのため、ベンダでは標準的なシステム提供をしようとしてもシステム名称は同一であるが導入施設ごとに仕様機能が異なるといった事態をもたらした。 これはベンダにとっては製品として販売できないという事になる。
 然しながらここまでに、各ベンダの導入実績は2015年当時で(月間新医療)下表のようになっている。

名称 導入件数
合計件数 シェア
富士通 740 34%
ソフトウェア・サービス 405 19%
シーエスアイ 263 12%
日本電気 238 11%
亀田医療情報 115 5%
ソフトマックス 63 3%
ワイズマン 56 3%
日立メディコ 42 2%
日本アイ・ビー・エム 39 2%
東芝メディカルシステムズ 36 2%
ナイス 24 1%
その他 6%
合計 2021  

 少なくともこの20年に2回の更新があったとして、全体で4,000回以上の導入(更新)経験を有しているという事だ。実際はもっと経験を保有しているはずだ。

 国や自治体の導入選定に関しては一般競争入札の総合評価という方式を採用してきた。 この方法は、建築・設備の調達に用いる方式で価格と病院が指定した要求仕様に対する技術評価点を合わせて評価して選定するものだ。 この場合は発注者が提供者に対してより知見を有しているという立場と公正性公明性を保持するものだった。 そのため技術仕様等を作成するためコンサルタントの存在が不可欠でもあった。 が、調達の都度数百ページにも及ぶ仕様書の作成に時間と費用をかけるのは非効率的であるし、病院独自の仕様作成には意味も意義も少なくなってきているのではないだろうか。

 それでは、どのようにすれば良いのか。
従来通り、現状稼働システムの状況把握と各部門でのヒアリング等を通じて現状の問題点を明らかにし、求めるべき要求仕様を作成するのではなく、
 ①現状の稼働システムの仕様と運用を示し、
 ②整備予定の部門システム(診断・治療機器)の整理を行い、
 ③抱えている問題や課題を整理し(患者を増やしたい、在院日数を短縮したい)、
 ④これらを提示し、各ベンダに課題・問題解決の提案を行ってもらう
という流れにすることにより、選定のための資料取りまとめに要する期間や費用を抑えることが可能になる。
ここで肝心なのは、現使用システムへの拘り(特に各部門の要求でカスタマイズした個所の)を捨てること。及びシステムの導入は従来の業務の流れの延長にあるのではないと理解することと言える。
換言すると、既に導入経験豊富なベンダの提案自体を評価する方がベターと言えるのではないだろうか。
が、選定に当たって評価することが難しいと言える。従来方式では要求仕様に沿った内容であれば評価もし易く採点も容易であった。
評価の方法としては、課題・問題に関する提案でどのくらい解決できるかという定量効果と新たなる提案で業務の流れが現状と比較してどのくらい効率的になるかなど可能な限り数値化することが考えられる。

 あと問題は、部門システムにある。
変化(新技術の採用など)が大きいのは部門システムだ。従来は部門システムと電子カルテシステム(狭義の)は相互に独立しており本来の意味でのカルテの電子化には遠いものだった。これは、機器の処理能力や記憶容量によることが多かった。
ここへきて、診療部門を始め手術部門などでもAI(スマート手術室やマッピングなど)やIOT搭載のシステムが多く登場してきている。これら新技術搭載の部門システムとのシームレスな連動が求められるということになる。

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